あせも(汗疹)について ~「たかがあせも」と侮らないで、正しいケアと早めの受診を~

赤ちゃん・子どもは「あせも」ができやすい

  • 「暑くなってきたら、赤ちゃんの首やおでこに赤いブツブツができてきた」
  • 「背中やおむつの中がプツプツして、痒そうに掻きむしっている」
  • 「夏になると、毎年決まって同じ場所にあせもができてしまう」

夏場を中心に、当院にも「あせも」のご相談が数多く寄せられます。
「あせも」は正式には汗疹(かんしん)といい、汗の出口である「汗管(かんかん)」が詰まることで、汗が皮膚の中に溜まって炎症を起こす皮膚トラブルです。
実は、子どもは大人よりも圧倒的にあせもができやすいのをご存じでしょうか。

その理由は、赤ちゃんの汗腺(汗を出す器官)の数にあります。
汗腺の数は、大人も赤ちゃんもほぼ同じ(約 200~500 万個)です。
ところが、赤ちゃんの体の表面積は大人の約 3分の 1 以下。
つまり、同じ面積あたりの汗腺の密度が大人の約 3 倍以上あることになります。
さらに、子どもは新陳代謝が活発で体温も高く、汗をかく量そのものが多いという特徴があります。
加えて、汗管が細く未熟なため詰まりやすく、あせもができやすい条件がそろっているのです。

あせもができやすい場所

汗がたまりやすく、蒸れやすい場所に多く発生します。

  • 首まわり・首のシワの奥(赤ちゃんに最も多い)
  • おでこ・髪の生え際
  • 背中(寝ている時間が長い赤ちゃん)
  • わきの下・肘や膝の裏
  • おむつの中・お尻・太ももの付け根
  • お腹まわり(衣服のゴムが当たる部分)

あせもには 2 つのタイプがあります

あせもは、汗管が詰まる「深さ」によって、大きく 2 種類に分けられます。

水晶様汗疹(すいしょうようかんしん) 紅色汗疹(こうしょくかんしん)
見た目 1~3mm 程度の透明~白っぽい水ぶくれ 赤くて小さなブツブツ、周囲に赤み
かゆみ なし 強いかゆみ・チクチク感あり
詰まる深さ 皮膚のごく浅い部分(角層) 皮膚のやや深い部分(表皮内)
経過 2~3 日で自然に治ることが多い 治療が必要なことが多い

一般的に「あせも」として問題になるのは、かゆみを伴う「紅色汗疹」です。
強いかゆみのために掻きこわし、症状が悪化していくケースが非常に多く見られます。

「たかがあせも」が危険な理由

「あせもくらい、放っておけば治るでしょう」——そう思われる保護者の方も多いのですが、実はあせもは、さまざまな皮膚トラブルの「入り口」になります。

① とびひ(伝染性膿痂疹)への進行

あせもを掻きこわした傷から、黄色ブドウ球菌や溶連菌といった細菌が入り込むと、「とびひ」を発症します。
とびひは、火事の飛び火のように全身に広がり、お友達やきょうだいにもうつってしまう感染症です。
夏場のとびひの多くは、あせもの掻きこわしがきっかけになっています。

② あせものより(多発性汗腺膿瘍)

あせもの部分に細菌が入り込み、汗腺の奥深くで化膿してしまう状態です。
赤く腫れて硬いしこりができ、痛みや発熱を伴うこともあります。
抗生物質による治療や、場合によっては切開処置が必要になることもあります。

③ 湿疹化・アトピー性皮膚炎の悪化

あせもを繰り返し掻きこわすことで、皮膚のバリア機能が壊れ、慢性的な湿疹へと移行してしまうことがあります。
もともとアトピー性皮膚炎のあるお子さまは、あせもをきっかけに症状が一気に悪化することも少なくありません。

「あせもの段階で、しっかり治しきること」が、夏の皮膚トラブルを防ぐ最大のポイントなのです。

ご家庭でできる予防とケア

① 汗をかいたら「洗い流す・拭き取る」

あせも予防の基本は、汗を肌に長時間残さないことです。
汗をたくさんかいたら、シャワーでサッと洗い流すのが一番効果的です(1 日 2~3 回でも OK)
外出先では、濡らしたガーゼやタオルで優しく押さえるように拭く
ゴシゴシこすると、かえって肌を傷つけてしまうので注意してください

② 石鹸で 1 日 1 回はしっかり洗う

汗だけでなく、皮脂や汚れも汗管を詰まらせる原因になります。
1 日 1 回は、しっかり泡立てた石鹸で、首のシワの奥や、わきの下、足の付け根まで丁寧に洗いましょう。
ただし、洗いすぎは乾燥を招くため、石鹸の使用は 1 日 1 回程度が目安です。

③ 洗った後は「保湿」を忘れずに

「あせもなのに保湿するの?」と驚かれる方もいますが、汗を洗い流した後の肌は乾燥しやすくなっています。
バリア機能を保つために、保湿剤を塗ってあげましょう。

④ 衣類・環境の工夫

  • 通気性・吸湿性の良い素材(綿・ガーゼ)の服を選ぶ
  • 汗をかいたらこまめに着替える
  • 室温は 26~28℃、湿度は 50~60% を目安に調整
  • 抱っこひもやチャイルドシートは特に蒸れやすいので、背中に汗取りパッドを入れるなどの工夫を
  • 寝ている間も汗をかくので、寝具の通気性にも配慮しましょう

こんなときは受診してください

以下のような症状が見られたら、ご家庭でのケアだけでは改善が難しい可能性があります。
早めに当院までご相談ください。

  • 数日ケアを続けても 赤みやブツブツが治らない、広がっている
  • 痒みが強く、掻きこわしてしまう
  • ジュクジュクしている、汁が出ている
  • 患部が 腫れて熱を持っている、痛がる
  • 膿(うみ)を持ったブツブツ ができている
  • あせもの周りに 水ぶくれやかさぶた が広がってきた(とびひの疑い)
  • 発熱 を伴っている
  • 痒みで 夜眠れない、機嫌が悪い

当院での治療

当院では、お子さまの症状に応じて、以下のような治療を行います。

炎症を抑える塗り薬

かゆみや赤みが強い場合は、症状と部位に合わせた適切な強さのステロイド外用薬を短期間使用し、素早く炎症を鎮めます。
「赤ちゃんにステロイド?」とご心配な方も多いですが、医師の指示のもとで適切に使えば、短期間で安全にきれいに治すことができます。

かゆみ止めの飲み薬(抗ヒスタミン薬)

夜も眠れないほどのかゆみがある場合、内服薬で体の中からかゆみをコントロールし、掻きこわしを防ぎます。

抗菌薬(とびひ・あせものよりを合併している場合)

細菌感染を起こしている場合は、抗生物質の塗り薬や飲み薬で治療します。

スキンケア指導

洗い方、保湿剤の選び方・塗り方、生活環境の整え方など、ご家庭で今日から実践できる具体的なアドバイスをいたします。

あせもを繰り返さない肌づくりを、一緒に

あせもは、正しいケアと適切な治療で、数日~1 週間ほどでしっかり治すことができる皮膚トラブルです。
そして何より、予防できる病気でもあります。

「毎年夏になるとあせもに悩まされる」「ケアしているつもりだけど、なかなか良くならない」——そんなお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
お子さま一人ひとりの肌質や生活スタイルに合わせて、あせもを繰り返さないためのスキンケア方法をご提案いたします。
お子さまが、かゆみを気にせず元気に夏を過ごせるように。
私たちがしっかりサポートいたします。

広島県福山市のおひさまこどもクリニックでは、
小さいお子様から高校生まで、長引く咳、肺炎に関する診察にも対応しています。

ご不安な点があれば、お気軽にご相談ください。

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