お子さんのおむつ替えや一緒にお風呂に入っている時、「あれ? 金玉(精巣)の大きさが左右で違うかも」「片方のふくろがしぼんでいる気がする」と感じたことはありませんか?
それはもしかすると「停留精巣(ていりゅうせいそう)」かもしれません。
ご両親にとって「精巣」や「でんぶ・デリケートゾーン」に関する心配事は、周りにも相談しにくく、不安が大きくなりやすいものです。
しかし、停留精巣は小児科では決して珍しくない疾患であり、早期に発見して適切な時期に対策をとることで、将来の影響をしっかり防ぐことができます。
ここでは、停留精巣とはどのような状態なのか、放っておくとどうなるのか、そして当院での診療の流れについて分かりやすく解説します。
赤ちゃんがお腹の中にいるとき、精巣は最初、お腹の中(腎臓の下あたり)に作られます。
それが成長とともに少しずつ下へ移動し、生まれつき、あるいは生後間もなく「陰嚢(いんのう:精巣が入るふくろ)」の中に納まります。
停留精巣とは、この精巣の移動が途中で止まってしまい、陰嚢の中まで降りてきていない状態のことを指します。
男の子の赤ちゃんの約 3~5%に見られ、決して特別な病気ではありません。
特に早産で生まれた赤ちゃんに多く見られる特徴があります。
お風呂に入って温まっている時や、リラックスして寝ている時には陰嚢の中に精巣があるのに、寒かったり泣いて力が入ったりすると上がってしまうことがあります。
これは「移動性精巣(跳ね上がり精巣)」と呼ばれ、成長とともに自然と落ち着くことが多いため、停留精巣とは区別して経過観察を行います。
「うちの子はどっちだろう?」と迷われたら、自己判断せずに医師にお見せいただくのが一番安心です。
「痛がっていないし、元気に遊んでいるから大丈夫」と思われるかもしれません。
停留精巣は基本的に痛みが伴わないため、見過ごされてしまいがちです。
しかし、治療を行わずに放置してしまうと、将来的に以下のようなリスクが高まることが知られています。
精巣は熱に弱い臓器です。
本来入るべき「陰嚢」は体温より 1~2 度低く保たれていますが、お腹や足の付け根にとどまっていると高い体温にさらされ続け、精子を作る細胞が傷ついてしまう可能性があります。
正しい位置にない精巣は、将来的に腫瘍化(がん化)するリスクが通常より少し高くなると言われています。
これらは、乳幼児期に正しく診断を受け、適切な時期に処置・手術を行うことでリスクを最小限に抑えることが可能です。
生後数ヶ月の間は、自然に精巣が陰嚢へ降りてくることがあります。
そのため、生後 6 ヶ月頃までは経過を観察するのが一般的です。
しかし、生後 6 ヶ月を過ぎても降りてこない場合、自然に降下する可能性は低くなります。
現在、国内外のガイドラインでは、造精機能を守るために「生後 1 歳~1 歳半頃(遅くとも 2 歳まで)」までに手術を完了することが推奨されています。
「そんなに小さいうちに手術?」と驚かれる保護者の方もいらっしゃいますが、将来のお子さんの健康を守るための非常に大切で、現在では確立された安全性の高い選択です。
医師が精巣の位置や動きを確認し、真性の停留精巣なのか、様子を見てよい移動性精巣なのかを診断します。
治療が必要と判断した場合は、現状とお子さんの月齢に合わせた最適なタイミングをご説明します。
手術が必要な場合は、連携している信頼できる小児外科・小児泌尿器科のある総合病院・専門病院へ迅速にご紹介いたします。
「どこの病院に行けばいいかわからない」という不安を残さず、検査や手術がスムーズに進むようサポートいたします。
手術後の定期健診やフォローアップも当院でしっかりと対応いたします。
デリケートな部位のことだからこそ、「こんなことで受診していいのかな」「勘違いだったら恥ずかしいな」とためらってしまう保護者の方は少なくありません。
ですが、子どもの病気は「何もなかったね」と確認できること自体が、ご家族にとって一番の安心になります。
乳幼児健診で指摘された方はもちろん、日頃のおむつ替えやお風呂で少しでも「あれ?」と感じる違和感がありましたら、どうぞ遠慮なく当院にご相談ください。
福山市の小児科、おひさまこどもクリニックでは停留精巣の治療や必要に応じて外部の医療機関と連携を行っています。
お子さんの健やかな成長と将来のために、一緒にお手伝いをさせていただければ幸いです。