赤ちゃんのおへそがぷっくり膨らんでいるのを見て、驚かれる保護者の方は多いかもしれません。
このようなおへその膨らみは「臍(さい)ヘルニア」と呼ばれ、一般的には「でべそ」として知られています。乳児期にしばしば見られる症状で、ほとんどの場合は自然に良くなります。
臍ヘルニアとは、お腹の中の臓器(主に腸)が、おへその部分から皮膚の下に飛び出して
しまう状態です。
「ヘルニア」とは、体の中の臓器が本来の位置からはみ出してしまう病気のことを指します。
赤ちゃんの場合、おへそが「たこ焼き」のようにふくらみ、その中に腸の一部が入り込むことがあります。
生後1~2か月頃に気づかれるケースが多いです。
胎児のとき、赤ちゃんは臍の緒(へその緒)を通してお母さんから酸素や栄養を受け取っています。
臍の緒には血管が通っており、それらが通る「臍輪(さいりん)」という小さな穴が腹壁にあります。
出生後、臍の緒が乾いて取れた(生後2週間前後)のちに、この穴も自然に閉じていきます。
しかし、赤ちゃんはまだ腹筋がしっかりしていないため、この穴(臍輪)が完全に閉じるまでに時間がかかることがあります。
そのため、泣いたり力んだりしてお腹に圧がかかると、この穴から腸の一部が押し出され、でべそが目立つようになります。
臍ヘルニアは新生児の約10人に1人に見られ、特に低体重で生まれた赤ちゃんや早産児では起こりやすいといわれています。
赤ちゃんの臍ヘルニアは、成長途中の腹筋の弱さや臍輪の閉じ方に関係するものです。
一方、大人のヘルニアは、加齢や肥満、妊娠などによって腹圧が高まり、後からお腹の壁が弱くなって起こるものです。
つまり、赤ちゃんのでべそは発達の過程でよくある現象といえます。
臍ヘルニアの主な症状は、おへそがぽこっと膨らむことです。
臍ヘルニアの多くは自然に治ります。
およそ1年で8割、2年になると9割以上の赤ちゃんでも自然に閉じるといわれています。
ただし、自然に治っても皮膚が伸びてしまい、見た目が気になる場合があります。
また、治らなかった場合は手術が必要になることもあります。
近年では、 おへその形を整えながら自然治癒を促す「圧迫療法」 が多くの施設で行われています。
主な目的は、膨らみを抑え、皮膚が伸びるのを防ぐことです。
綿球やスポンジなどの柔らかい素材をおへその上にあて、医療用テープで固定してお腹の中に押し込むようにします。
当院では、圧迫療法を積極的に取り入れています。
初回はクリニックで方法を確認していただき、その後はご家庭で続けていただくケースが多いです。
圧迫療法は、 必ず小児外科医や小児科医の指導のもとで行うことが大切です。
自己判断は避けましょう
昔から「硬貨をあてて絆創膏で貼る」といった民間療法が知られていますが、自己判断で行うと再発や皮膚トラブルを引き起こすおそれもあります。
ご家庭でのケアが難しい場合は、当院で定期的にテープ交換を行うこともできます。
「おへそが大きいかな?」と感じたときは、皮膚が伸びてしまう前に、早めにご相談ください。